蔵元取材訪問♪~田中屋酒造店・信越自然郷(2)~

信越自然郷・蔵元取材訪問記録(2)

長野県と新潟県にまたがる信越の9市町村、信越自然郷様からのご依頼で、日本酒と温泉の専門家ユニットJapanesQueenとして、ダブルセミナーを開催するために、取材旅行に行って参りました。

北陸新幹線「飯山駅」を中心に半径20km圏域の、飯山市・妙高市・中野市・山ノ内町・信濃町・ 飯綱町・木島平村・野沢温泉村・栄村の中には、11の酒蔵があり、今回は、そのうちの5蔵を訪れました。
(2018年2月28~3月2日の記録です)

第二弾は、飯山市から、「水尾」を醸す田中屋酒造店のご紹介です。

“水のごとく旨き酒”を造るための努力

田中屋酒造の代表銘柄は「水尾」。

「水尾」(みずお)の名の由来は、仕込み水である、野沢温泉村にある水尾山の湧き水からきています。

「水尾の酒のこだわりについて語るには、まずは、水から。」

田中社長は、蔵案内にさきがけ、お話をして下さいました。

現社長(6代目)が25年前、蔵に入ってから最初に研究したのは、水でした。それまで使っていた井戸水の水質が硬すぎるため、吟醸酒等の製造には不向きだと分かったからだそうです。
よい水を求めてあちこちに出向いた結果、水尾山の水と出会い、以降、仕込み中は日に何度も、片道20km北の水尾山のふもとまで行って、水を汲んできています。

私が取材した当日も、ちょうど、タンクローリーで水を汲んで戻ってきたところに出くわしました。
仕込み水を試飲させて頂いたのですが、やや甘みを感じる、柔らかな水でした。
酒質を決めるのはもちろん水だけではありませんが、水尾の酒とこの水との共通点を、はっきり感じとることができました。

地のもので、酒を造る

地酒とは何か?と考えた時に、やはり米も極力、地元産にこだわりたいと考えられ、現在は、長野県産の酒造好適米を100%使用しているとのこと。

特に、地元である木島平村のみで栽培されている希少品種「金紋錦」は、今や注目を浴びている酒米のひとつです。
交渉の末、安定的に確保できるようになったそうで、金紋錦の良さについては、この後訪れる「信越自然郷」内の他の酒蔵さんでも、度々、話題になりました。

蔵人も、地元にこだわる

2月の最後、造りまっ最中の蔵の中をご案内頂いたのですが、働いている蔵人さん達は、若く、てきぱきと仕事をこなしていました。
田中屋酒造の地酒を造るキーポイントは、「人」でもあります。杜氏も地元「飯山杜氏」、蔵人たちも近くに住む方々。
造り期間中は、寝食を共にするするため、その信頼関係が、お酒の質にも現れると考えていらっしゃるそうです。

ラインナップのバラエティは基本形があってこそ

さて、様々な角度から「田中社長の考える“地酒”について」そして「水尾の酒造りのこだわりについて」お話を伺ってきたのですが、テイスティングを通して、それらがストンと腑に落ちたのを感じました。

ご案内頂いた田中社長と

ズラっと並べられたラインナップの中で、まずは水尾の真骨頂である「特別純米酒 金紋錦仕込み」を味わい、それを基軸として他の銘柄をきき酒していきました。

全てのこだわりがぎゅぎゅっと詰まっている「特別純米酒 金紋錦仕込み」は、木島平産金紋錦を100%使用した、特別純米酒です。淡白でシンプルな味わいの中に、独特な深みとふくらみ、幅のある味わいを感じられます。

「どんな料理が合いますか?」と社長に尋ねたところ、間髪入れず「野沢菜が最高でしょうね。」とのお答え。
実際に、セミナー当日はこちらのお酒をサンプルとしてお出しし、野沢菜との相性を試したのですが、お酒と野沢菜に共通する、大人だからこそ分かる心地よい酸味と、ほのかな苦みが、有無を言わさぬベストマッチングでした。

普段、野沢菜と地酒なんて、当たり前に合せているだろう参加者皆様も、マッチする理由をお伝えしたところ、なるほど!と膝を叩き、「これからは自信をもって観光客におすすめします!」とおっしゃって下さいました。

すいすいとのみ続けられると、地元の方々も愛飲

女将もセミナーにご参加下さったご縁で、帰りの新幹線までのわずかな時間でしたが、飯山駅前にある居酒屋さんよってかし おんとに伺いました。
和気あいあいと、皆さんが杯を傾けていたのですが、驚いたのは、日本酒の一升瓶をキープしてぐいぐいと飲んでいらっしゃる光景!
そして、その一升瓶はまさに、水尾のスタンダード酒でした。

都内は飲食店が多く、さらに色々なお酒が並んでいて移り変わりも激しいので、なかなか「マイ一升瓶」をキープしている方はいないのでは?
こちらはお蕎麦が美味しい居酒屋さんなのですが、水尾とお蕎麦も、よく合いましたよ!

皆様も飯山を訪れた際にはぜひ、水尾のお酒を「野沢菜」や「そば」など、土地のものと合せて楽しんでみて下さい。

田中屋酒造店インフォメーション

  • URL:http://www.mizuo.co.jp
  • 住所:長野県飯山市大字飯山2227
  • 電話番号:0269-62-2057
  • 蔵元見学:不可
  • 販売所:あり(試飲可)
  • アクセス:
    <電車の場合> JR飯山駅から徒歩15分
    <車の場合>  豊田飯山ICから車で15分
    駐車場:あり